泣くようぐいす by木多康昭 週間少年マガジン


再始動マンガレビュー第一弾はまずこれ。

週間少年ジャンプであの有名な「幕張」を描いていた木多康昭が、事情は知らないがマガジンに移籍し、

単行本全7巻で連載終了(打ち切り)となった作品である。

「幕張」と言えば、1996年にジャンプで連載開始し、同雑誌内でかつてはなかったというぐらいの量のひどい下ネタ、

マニアックなものも多いパロディーネタで一世を風靡し(?)、ジャンプ史に伝説を残した(?)マンガである。

少年誌でここまでやっていいのか?ってぐらい放送禁止用語が出てくるマンガだったが、ギャグのレベルは高く、

女性にはどうだったか知らないが少なくとも男性には人気があったと思う。しかしホント他に類を見ない汚れマンガだった。

当時小学生だった俺にはちょっとわからないネタも多かったがかなり笑っていたのを覚えている。

そして主人公が実はガモウひろしだったという衝撃の事実を告げられ、単行本全9巻で連載終了となる。

 

さて、その後の作品となるのがこの「泣くようぐいす」であるが、なんと今回は単なるギャグではない。野球漫画である。

まぁ「幕張」書いてた人だからやはりギャグのテイストは下ネタ、パロネタ満載のオンパレードだが、

前作では本当にギャグしかなかったこの木多さんが、なんと真面目に野球している所を描いたりしているのである。驚き。

大まかなストーリーは(といってもストーリー性はないが)、幕張第一高校(通称:幕一)野球部所属の主人公・千石うぐいすが、

第一話で今まで付き合っていた女、しおりん(本名:小口詩織)に実は他に男がいることを知らされ、

うぐいすと付き合っていたこともドッキリだったという衝撃の事実を知らされることになる。

だまされたうぐいすは、しおりんの本当の恋人であり原幕高校の野球部エースである蘇我に勝負を挑むため

今までふざけて真面目にやっていなかった野球を、マリーンズの新守護神・加藤礼司に無理矢理指導してもらったり

色々無茶苦茶やったりして頑張る、といった感じの流れ。

 

初期の原幕との練習試合は、マジで木多さんが描いたのかコレ!?ってぐらいホントに真面目で、かなり惹きつけられた。

なんつーか、「幕張」とのギャップがあまりにも大きかったから余計に面白く感じたのだと思う。この人こんなのも描けるんだ、と。

後に詳しく書くが、出てくるキャラもそれぞれちゃんと個性があって魅力的。コレも面白い理由。

・・と、かなり感心しながら読んでいたら、野球話が終わった途端からまた、「幕張」を彷彿とさせる流れが始まってしまった。

やっぱりこの人の漫画は結局ギャグなんだな、と思い知らされる事になる。

一旦ギャグシリーズが始まってしまうと、もう野球漫画でもなんでもなくなってしまう。

5巻で「私羅高校」が出た辺りからは「またやっちゃったか」と思わざるを得なかった。

キャラが平気で脱いだりチンポで敵殴ったり・・コレでは「幕張」の「世界最優秀高校生大会」と何ら変わりないではないか!

いや、それでも面白くないわけではないのだが、見ていて気持ちのいいものではない。

せっかく最初の頃はちゃんと野球漫画やってたんだから、もう変な流れはやめてほしいものだ。どうしても「幕張」と重なるから。

と、なんとか願いが通じたのか、途中から新キャラが登場してまた野球漫画の流れになってきて、

それぞれキャラ達が次の大会に向けて必死に練習したりして、これからのストーリーに物凄く期待していたんだが・・

なんと!!「打ち切り」となってしまったのである。これからって時に7巻で超唐突な連載終了。

しかも夢オチ&主人公逮捕という最も最悪な方法で無理矢理終わらせてしまった。

本当に悔しかった。やはり私羅高校シリーズが人気低迷の原因だったのではないか?

あのままちゃんと続いていたらどうなっていただろう。あのキャラはどんな活躍をしていただろう。

気になってしょうがない。惜しくてしょうがない。未完のまま終わってしまったこの漫画が残念でしょうがない・・

できれば木多先生に復活してほしい。たとえ無理でも。もし同じ事を考えている人がいたとすれば非常に嬉しい。

 

というわけで、惜しくも打ち切りとなってしまったこの漫画だが

ホントに未完にするのは惜しすぎるぐらいキャラ設定がしっかりしていた。一人一人のキャラがしっかり確立しているのである。

魅力的なキャラがいっぱいで、コレらのキャラが喋ったり動いたりしているのを見ているだけで面白かった。

なにより面白いのは、「本当に現実にいそうな顔」のキャラが多いこと。アマケンとか今とか、妙に親近感が湧く。

木多さん、絵うまくなったなぁとつくづく思わされた。

ここでそんな大好きなキャラ達を一部紹介していこうと思う。コレを見てこの漫画を読みたくなってくれたら嬉しいです。

 

☆千石 うぐいす  前述したとおり主人公。幕一高校1年野球部所属。
ふざけてばかりいてやる事も無茶苦茶だが実は底知れぬ才能をもっており、
通り過ぎる列車の乗客の顔が全てわかるという、驚異の動体視力を持っている。
その動体視力をもって、マリーンズの守護神・加藤礼司の150キロの豪速球をいとも簡単に打ってしまったほど。
後半、プロケンと平野の説くピッチャーの駆け引きの面白さに惹かれ、自分もピッチャーを目指す事に。
必殺技「千石パンチ」は超強力。PS2持ってる事を入学してから20回以上聞かすほどの超自慢したがり。

☆今 裕二  幕一高校1年野球部所属。斉藤洋介似の顔長しゃくれ男。
自分が斉藤洋介に似ている事をかなり気にしており、皆から馬鹿にされるたびに本気で傷付いてしまう。
とくに3巻111Pの5コマ目、うぐいすに「お前は自分が斉藤洋介に似てることさえ気づいてねーじゃねーか!!」
と言われてしまった時の今の泣き顔と、「ごめん、ちょっと言いすぎたよ」と本気で動揺するうぐいすが最高に笑える。
歩くだけで女の子達からサインを求められるらしいが、単に斉藤洋介と間違われているだけ。
しかしホントこのキャラを作ってしまった木多先生は天才ではないだろうか。もう存在が面白すぎる。オイシイ奴。
実はバッティングの腕が神がかっており、ピッチャーの球を狙ってベンチのバケツの中に入れたりできてしまう。

☆後藤 和義  幕一高校1年野球部所属。メガネのオシャレさん。中学の時からモテていた。
だがデベソ(しかも遺伝)であり、それがバレるのが怖かったため今まで付き合ったことはなかった。
デベソと言われるとこの世のものとは思えない程ブチ切れる。
とくに6巻20P「お前の母ちゃんデベソ」と言われた時の顔は最強、マジ腹痛くなった。一見の価値アリ。
野球はあまり上手くなく、中学の時からとりあえずやっているだけだったが、千石の球を受けているうちに
自分が自然に上手くなっていっている事に気付き、本格的にもっとうまくなりたいと決心するようになる。

☆金子 健太郎  幕一高校3年野球部所属。エースピッチャー。
幕一野球部には「ケン」が二人いて、こっちは野球が上手いので「プロケン」と呼ばれている。この設定が好き。
かつて原幕の蘇我と同じシニアのチームで、蘇我と一緒になる前は自分が一番のピッチャーだったのだが
後に天性のピッチャーの素質を持つ蘇我に抜かされる事に。それから敵対し始める。だがプロケンの才能もかなりのもの。
ちなみにこの人に関するギャグは一つも無い。寡黙な人である。カッコいい!

☆佐々木 健  幕一高校?年野球部所属。キャッチャーでありプロケンとバッテリーを組んでいる。
プロケンに対して、こちらはたいして野球が上手くなかったため「アマケン」と呼ばれている。
あまり目立った活躍はしないが、プロケンの女房役を務める大事な存在である。
変態新監督の平野を尊敬していたが、平野の家に侵入してしまったがために衝撃の事実を知らされ、絶望する。
ちなみに俺はこのアマケンの顔が一番好きである。現実にこういう顔の人いるいる!よく特徴つけて描かれてます。
なんつーか何気にカッコいい。

☆岡村 博範  幕一高校1年野球部所属。陸上部だったが、うぐいすに憧れて野球部に入る。
うぐいすに憧れたきっかけは、中3の頃に漫才師を夢みてお笑い単独ライブをやったものの全くウケなかったのに対し、
そこにいたうぐいすが城島微笑(リーダースマイル)をしたまま動かずに周囲の人々を爆笑させていたのを見たため。
軽いジョークで、床屋で「いとうせいこうの髪型にしてください」と言ったところ、本当にやられたり(メガネまでかけられた)と、
かなりの馬鹿だが凄まじい俊足の持ち主。かつて後藤と同じ中学で、その頃の野球部の試合に助っ人として出たところ、
相手が警戒してるにも関わらず3連続でセーフティバントを決めたという過去あり。
また、野球は下手ながら足を生かすための工夫を自分でしっかりと考え、練習し、実践する努力家でもある。

☆斎木 拓也  幕一高校1年野球部所属。実はなんとトリプっているため1年生なのに18歳。
卒業を前に成人式を迎えられるという逸材である。高校でトリプるってどれだけ馬鹿なのだろうか。
だがトリプってるわりに野球に対しては冷静で、経験豊富でありキャッチャーの腕はかなりのもの。
加藤礼司の球も簡単に受け取れるほど。敵からも一目置かれる存在。

こんな感じです。打ち切りにならなければ後藤や岡村ももっと試合で活躍したかもしれんのになぁ・・

それでは最後に名言集を。

・うぐいす「今の一球も百万に入れていいぜ―どうせ次で一億もらえるんだから」
・うぐいす「(デブの白鳥に対して)うるせー俺に話しかけるな 
陥没乳首のくせに」
・アマケン「こんなこと言っちゃ悪いけど補欠のあんたじゃキツイでしょ」
・今「俺は誰よりもうまく そして美しい」
・うぐいす「(関西人は)マックシェイクはマクドシェイクとは言わんぞ!!!」岡村「(あっ危ねぇ・・間違えてたよ・・大恥かくとこだった・・・)」
・うぐいす「(マジックハンドを装備して)俺は今日から二本装備して腕の長い男として一生をすごすのだ」
・うぐいす「SGGK(スーパーがんばり屋ゴールキーパー)」
・平野「その上斉藤洋介の顔マネしやがって」後藤「
ロボになっても似てるじゃねーか!!」後藤「お前の言うとおりお前宇宙人だな」平野「だってもともと地球人にはいない顔だしな」「ある意味本当の自分を知ったんだな」「俺達の妨害せずにはやく洋介星に帰れ!!顔長星雲の!!
・後藤「デベソで悪かったなぁ!!!」今「な 何?なんでそんなに怒るの!!?」
・岡村「俺に才能がないことなんてわかってますよ―だから必死になって練習やってるんですよ」

まぁ、興味があったらこの漫画読んでみてください。最終回でガッカリすると思いますが。


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